柵の向こうの鳴かない小鳥
とても可愛くて美しいから
その中身はきっと花や宝石で
涙は真珠にでもなるのだろう
オブリード辺境伯夫人エルメイア。つまるところ、シェリーの母親。
王家の強大な魔力を受け継ぎながらも脆弱な魂ゆえに、それらを発現する術を持たなかった彼女は、出産を機に完全な狂気へと陥り、そしていまやその喉から溢れる言葉はすべて致死の呪いとなっている。
下着一片にすら過剰に施された刺繍やレースは呪術的な意味を持ち、彼女の呪いを中和する役割を果たしている。とりわけ喉元のカラーは最も効果的なそれとして、彼女の声そのものを奪っている。