扉の向こうから、赤ん坊の泣き声が聞こえました。 しかし、扉はいっこうに開きません。 その内に赤ん坊の声はますます大きく、悲鳴のように響くようになりましたが、やはり扉は閉じたままでした。 外で待つ人々はとうとうしびれを切らして、扉を開けました むっとするようなにおいがあふれてきました。 中に、立っている者は誰もおりませんでした。侍医も、産婆も、折り重なるようにして床に倒れていました。 エルメイア様の身体も、産台の上で力なく横たわるばかりでした。 誰も彼も血にまみれていました。 唯一生きていると分かるものは、床に産み落とされて、泣き叫ぶ、小さな赤ん坊だけでした。 |