フェリチ家の、まだ幼い娘が行儀見習いとして城に上がったのは、春先のことだった。
 先の花祭りで娘は、春を告げる妖精の役をした。
 花冠を被って朗らかに踊る姿が、ソゾンの姫君の目にとまったのだ。
 姫君の話し相手として召し上げられて数週間、娘の華やかな未来に胸を膨らませる両親に、訃報が知らされた。
 棺の中の、変わり果てた娘の姿に両親は嗚咽した。
 塵を燃やす炉に、足を滑らせたのだという。顔はほとんど分からないほどにただれ、手足は苦悶に曲がっていた。
「こんなことになってしまって、本当に残念です」
 と、姫君は目に涙を浮かべた。
「この子と過ごした時間は短かったけれど、私にとって一生忘れられない思い出になるでしょう」

「それで、この子のお葬式はいつ?」