あとがき

 ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。プリメイ本編これにて完結です。いかがでしたでしょうか。
 私の中にもひとしおの感動があって、語りたいことはたくさんあるのですが、自分で書いた物語について、あのときのキャラはああでね、このセリフの意味はこうでね、とあれこれ語るのも恥ずかしい……というわけで、あとがきにかえて、この小説ができあがるまでの過程を思い出せる範囲で書いていこうと思います。
 先に説明しておきますと、物語の展開を最初から最後まで筋道立てて考えておくタイプの創作者ではありません。漠然とした目的に向けてアドリブを聞かせて物語を組み立てるタイプです。プロットもしません。良いか悪いかはさておきこういう書き方もある、ということでご了承ください。

 余談ですが、私は映画やゲームなどのメイキングを見るのが好きです。DVD特典や資料本など必ず見てしまいます。キャラクターができあがるまでのデザインの変遷なども楽しいです。
 小説に関してメイキングをあまり見ない気がするのは、だいたいは一人の頭の中で進行する作業であるのと、PCで書けば修正跡や草稿が残らないせいでしょうか。

 さて、まずはプリメイの歴史を軽くおさらいします。シェリーとルディのキャラクターを思いついたのは、今からもうかなり昔です。ただ男装子がムチ持って女装子を組み敷いてるだけの、紙に描いたラクガキでした。今は手元にも残っていません。
 その二人が突如復活したのが2008年1月12日でした。八年前です。作品数が増えてプリメイがジャンルとして独立したのがこの年の九月、それ以降トントン拍子に他のキャラも生まれ、単発のエピソードばかりが次々と飛び出すようになりました。七年間の大幅な回り道を経て、去年ようやく本編の制作へと至りました。
 プリメイがジャンルとして独立した頃から、物語の出だしと最後の展開、つまりルディがシェリーに拾われて城に来ることと、ルディが何らかの事情で城を出て再び戻ることだけは考えていました。しかしそこに至るまでの経過はまったくの空白でした。上記のアドリブ部分がここになります。単発のエピソードとして、アイメテとのやりとりを思い付いていたくらい。物語中でどんな意味を持つかは、書きながら考えてました。
 また余談となりますが、始まりと終わりを決めたもっと前には、敵に城まで攻め入られたシェリーが、ルディをこっそり逃がしてやるなんてラストを考えていた気もします。この場合はおそらくシェリーは戦死して悲しい結末となるのしょうが、とにかく一度出会ったこの二人をもう一度引きはがす、というアイデアは一貫している気がします。

 始めと終わりは書き始める前から決まっていた物語ですが、エンディング時の二人の具体的な関係は、書き進めるにつれて変化していきました。

 書き始めた当初、漠然と考えていたのは、ルディが限りない母性でシェリーのことを受け入れるパターンでした。慈愛エンドと名付けましょう。慈愛にあふれた聖母系キャラ好きなんです。女装少年に母性が芽生えるというフェチシズムも叶えられますし。
 早々に、この路線はなくなりました。ルディにそこまでの余裕がないからです。自分のことでいっぱいいっぱいのただの少年ですから、当たり前の話です。
 次に、中盤で思い描いていたのは、シェリーの方がルディをひたすらかわいがる、いわば溺愛エンドでした。シェリーが戦争から帰って、一時的に仲良くなった時期からの想像です。
 この場合、エンディング後にルディに“シェリーのもの”的なタグが付くので、寝取り趣味のケンニヒがルディに迫ったりして(そしてシェリーに阻止される)、その妄想はとても楽しかったです。
 オブリードが物語に関わり始めたあたりから、ルディからにしろシェリーからにしろ一方的な愛情エンドはなりを潜め、湯殿での一件以降は、なんとなく、あーこのまま行くと純愛エンドだなーと思っていました。純愛というものがなんなのかは、物語の解釈に関わるので割愛します。子供が二人、手をにぎりあって歩くシーンがイメージとして浮かんでいました。
 その後さらに、物語の中で色々ありました。
 慈愛しろ、溺愛にしろ、純愛にしろ、ほかのものにしろ、プリメイ本編は愛の物語です。ルディもそう言ってくれました。最終的にシェリーとルディの二人の愛がどのような形になったかは、読まれた皆様がどう感じたかにお任せします。

 さらなる余談ですが、第十一幕『話』の最後のルディのセリフ、「あなたを、愛してしまっていいですか?」は、プリメイ黎明期、まだ一枚絵や短いエピソードを発表していた頃になんとなく、このキャラはこういうこと言いそう、と思い付いていたものです。下手をすれば落書きで消費していたかも知れないネタです。いやいやさすがにそれまでのエピソードもなくいきなりこんなセリフだけ描いちゃいけないでしょ、と自制してそのまま、本編を書き始める頃には完全に忘れていたのですが。
 まさかこのシーンで出てくるとは思っていませんでした。物語を作るって不思議がいっぱいですね。

 メイキングは以上です。悩んだり迷ったりしながら、楽しく、私の好きなものをつめこんだ物語ができました。読む方にも楽しんでいただけたなら幸いです。
 ここまでもお読みいただき、改めて、ありがとうございました。



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